2024年6月15日。DAY29イスタンブールの朝です。

リングギアが壊れた。
エンジンの力をタイヤへ伝えるための大切な部品で、
これがなければ、私たちのビュイックは一歩も前へ進めない。

心が追いつかない1日を何日も過ごしたが・・朝は必ずやってきた。
そして暗く曇った心とは裏腹に今日も美しい太陽。


希望と不安が入り混じる一日が今日も始まった。

世界中への呼びかけが、奇跡を連れてきた

何日も何日も・・夜も眠れず世界中へ呼びかけ続けた。
ここで出会った言葉もろくに通じない仲間たちも私たちの諦めない姿を見て
世界中へ発信してくれた。
奇跡はあるのか? ここで信じられない知らせが飛び込んできた。

100年も前のビューイックに使える可能性のあるリングギアが、なんとニューヨークで見つかった!!

ニューヨーク!?ニューヨーク?? アメリカ???

北京からパリへ向かう私たちのルート上では、もちろんまったくない。
大西洋の向こう側で、必要な部品が私たちを待っていたのだ。

あきらめかけた瞬間に、世界のどこかにいる誰かが手を差し伸べてくれる。
こんなことが本当に起こるなんて。これはもう、奇跡としか言いようがなかった。


宗教上の休暇に入るここトルコイスタンブールでも
再び走らせるため、たくさんの人が力を貸してくれた。

見つかった。でも、まだ手元にはない

けれど。。ここはトルコ喜んでばかりはいられない。
明日から休暇に入るために、私たちの車を輸送してくれる業者が見つからない・・。

部品は「見つかった」だけ。まだニューヨークにある。
このトルコからどうやって国境を渡ればいいのか・・。

どこで受け取れるのか。
いつ受け取れるのか。
本当に私たちのところまで届くのか。
そして、パリのゴールに間に合うのか。

答えは、何ひとつ分からない。

距離にすれば、イスタンブールとニューヨークはあまりにも遠い。
FeDEXという国際配送を利用したとしても、
誰が受け取り、どの街で私たちと合流するのか。
いや・・本人しか受け取れず、場所も確実な指定が必要だった。
Rally中の私たち・・ゴールの瀬戸際まできたがRallyは待ってくれない。
時計の針だけが、容赦なく進んでいった。

考えている時間すら・・心が壊れそうになる。
徐に!私は車両を洗い出す・・。

それくらいしか気分を晴らすことが見つからない。

本隊はイスタンブールへ。私たちは積載車へ

今日本隊はアンカラからイスタンブールまで約480kmを走り、
アジアを抜けてヨーロッパ側へ進む。

けれど故障した私たちはその正規ルートを走っていない。
ひとまず今日は積載車に載せて、再出発できる場所と時間を探すために本隊と合流する。

走ることのできないビューイック。それでも、パリをあきらめたわけではない。

自分たちで走れない悔しさ。仲間たちから離れていく焦り。
それでも、ニューヨークで見つかった小さな希望を、どうしても手放したくなかった。

「部品さえ届けば、もう一度走れるかもしれない」

その可能性を信じて、連絡をとり続ける。
時差・・言葉の問題・・何一つ順調に進むことはない。

奇跡のリングギアは、本当に海を越えてやって来るのか。
私たちはパリへのゴールの道に戻れるのか。

ハラハラの旅は、まだ終わらない。
DAY30へ続く……




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