DAY36|最後まで誰も諦めなかった夜。夜明け前、再び走り出した
北京パリ モーターチャレンジ、DAY36。
2024年6月22日。
パリのゴールは、いよいよ明日!
けれど、私たちのビューイックは、まだ工場の中にいた。
昨日から続く大作業。
まるで、心臓の手術を受けている真っ最中だった。
部品は届いた。それでも、まだ走れない ニューヨークから奇跡的に届いたリングギア。
見つからない。 見つかるわけがない。
見つかったとしても、本当に届くのか。
そんな時間を越えて、ようやく目の前にある部品。
今度こそ、順調に取り付けられると思っていた。
ところが・・そうはいかない。
壊れたリングギアが、外れないのだ。
相棒は1929年式。ほぼ100年前に造られた車。
ある意味、大きな鉄の塊でもある。
新しい部品はここにある。 それなのに、古い部品が外せなければ交換できない。
試練、また試練。
いったい、何度越えればいいんだろう・・。
## 真夜中の工場で、誰も諦めなかった 大きな機械から、火花が散る。
切断して外そうとしているのだろうか?
いや・・壊してはダメだ。 慎重に、慎重に。
もう真夜中だというのに、何人もの人が次々と集まってきた。
飛び交うイタリア語。 私には、その言葉を聞き取ることができない。
けれど、目の前で交わされる作戦会議から、伝わってくることがあった。
誰一人として、諦めていない。
私たちの車を、何とかしようとしてくれている。
パリのゴールは、もうすぐそこ。
それでも、この部品が外れなければ、先には進めなかった。
工場で待ちながら、思い出していたこと 北京からここまで駆け抜けてきた道が、
走馬灯のように浮かんだ。
砂漠。悪路。 何日も眠れなかった夜。
砂漠の暴風雨。 灼熱の太陽の下、泥と砂にまみれた自分。 熱中症にもなったな・・。 涙、涙の日々だった。
それでも、日本で応援してくれる人たちに、何とかレポートを届けたかった。
写真や動画を撮り続け、日記を配信し続けた。
何のために、走り続けるのか。 その答えが、自分の中で少しずつ明確になっていく。
夢とは? いや・・忘れていた。
5ヶ月前には、がんの手術で命と向き合っていたのだ。
その手術の傷のことさえ、忘れるほどの日々。
ここまでの旅。 ここまでの冒険。
車が止まるたび、助けてくれる人たちに出会ってきた。
8つの国で触れた、人の温かさ。
自分たちだけではどうにもならない時に、何度も手を貸してもらった。
そして今も、この工場で。 私たちの車のために、何人もの人が力を尽くしている。
最後の最後まで、人の愛は温かかった。
## 夜明け前、エンジン音が響いた そして、太陽が昇る前の早朝。
修理が終わった!
エンジン音が、鳴り響く。 工場のみんなに見送られながら、ビューイックがゆっくりと外へ出ていく。 昨日まで、走れるかどうかも分からなかった相棒が、動いている。
翌日に迫る、パリのゴールへ。
私たちは、再び走ることができたのだ!
。 部部品が届いてからも、全く簡単にはいかなかった一夜。
最後まで諦めず、作業を続けてくれた皆さんのおかげだった。
出発を支えてくださった皆さん。 本当に、ありがとうございました!
何度も、何日も、本隊から離れた。
リタイアが頭をよぎる状況に追い込まれ、そのたびに諦めず追いかけ続けた。
中でも、国境が一番つらかった。
時間だけは、限りがある。
焦りと不安が入り交じり、胸がギューっと締め付けられる。
そんな時間を、何度過ごしたことか。
車が動かず、積載車の力を借りて進んだ日も多かった。
それでも、今。 このビューイックと、パリへ向かっている。
もうここまで来れば、押してだって進める!
昨晩は、部品が外れず大作業だったのに。 同じ旅の中に、こんな一枚も残っている。
ゴールを目前にした仲間たちの笑顔。
もうここまで来れば、押してだって進める!
ゴールは、すぐそこだ。
私も泥だらけのユニフォームを脱いで、みんなと記念撮影。
工場での大作業から、こうして仲間と並ぶ時間まで。 ゴール前日も、
いろいろなことが詰まった一日だった。
明日はいよいよ、ゴールパリ。
5年以上かけて準備してきた北京パリの、最後の一日。
相棒ビューイックと共に、ゴールへ。
残された時間は、あと一日。
DAY37へ続く……。**
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