6月12日 DAY26のレポートです。
昨晩は当然の如く一睡もできなかった。
北京パリのスタートから今日までも、数えきれないトラブルが襲ってきたが、どれも奇跡的に乗り越えてきた。
でも、昨日判明したリングギアの破損。
これはこれまでの問題とは全く違う。
100年前の車のこの部分に代替えパーツなんてありはしないし、修理は不可能。
もはや奇跡を信じるしかない状況。
それでも、昨晩まで集まってくれたジョージアの修理工場にさよならと感謝を届ける。
トルコの国境を越えたい!絵で伝える「ゴールを目指す意思」
朝から本隊がトルコ国境を目指して出発していくのを、見送るしかなかった。
私たちが遅れを取り戻すには、アゼルバイジャン側からトルコ側の担当者に引き継ぎ、国境を渡る手続き、積載車の手配をし直さなければならない。
ところが、彼らに状況を説明するのも一苦労。
絵を描いて「どうしてもトルコまで行くんだ」と必死に伝えるしかない。
頭の中では、もしリングギアが見つからなかったら…という最悪の想像が止まらない。
このまま積載車でゴールにたどり着くなんて、ラリーではなくただの移動になってしまう。膨大にかかる費用はどうするんだ・・。
困難を越えて「自分の力でパリを目指す」と誓ったあの日の気持ちが、胸の奥でざわついている。
必死の情報収集、そして夜通しの交渉
夜中まで参加者の連絡先を辿り、翻訳アプリを使って助けを求め続ける。
英語もできない自分が最大限にできることの全てを出し尽くしている。
イギリスのメンテナンス工場にも、設計図の他に何かすべは無いかと連絡を再度入れるも、「うちでは対応できない」との返事。
こうなりゃ!また直談判にイギリスまででっかいギアを持ち込んで戻ってくるしかないか!
いや・・・それも簡単なことなんて一つもない。
飛行機の手配、ギアを外したとてこの大きな物体を税関が通るとは限らない。
残り10日に迫るタイムリミット・・・。
腹が立つ・・。当たり用のない感情と文字を打ちすぎて指が痛むほど連絡を取り続け、心も体も限界を超えていた。
そんな中、トルコ人の参加者から、国境を越えた先に自動車クラブを紹介してもらえるとの情報が舞い込んできた。
けれども、その人もラリー中でなかなか連絡がつかない。
焦りと不安、そして絶望のような気持ちが押し寄せ、ふと「自分は一体なぜ、ここまでしているんだろう」と自問する。
けれどもその答えはシンプルだった。
私はこのゴールを見たくて、ここまで頑張ってきたんだ。癌の治療だって、この挑戦のために一時中断した。
人生をかけて挑戦したいものに出会えたから、ここまで歩んできた。
だから、絶対に諦めない。そう心に決め、積載車で国境へ向かう。
トルコ国境越え、積載車のパンクで立ちはだかる新たな試練
ようやく積載車に乗り込み、ジョージアからトルコの国境へ向けて出発。道中も車中揺られながら首の骨が折れるんじゃないかと思うくらい携帯と翻訳アプリで必死に連絡を取り続ける。
あと少しでトルコ!と思ったその時、「パーーーーーン!」と耳をつんざく音が響き、積載車のタイヤがパンク。
何から何までついていないとはこのこと。
こうなったら!トラックのパンク修理もやってやろう!!
格闘すること3時間は経過し、また別の積載車を手配。
トルコ国境を渡る時にはもう夕暮れが迫っていた。
トルコの若者たちと、かすかな安らぎ
深夜にたどり着いたガソリンスタンドでは、スナック菓子とジュースを手に入れた。
空腹で、食べたスナックが何よりのご馳走だった。
スタンドには若者たちが集まっていて、彼らは珍しい車と私たちに興味津々。
名刺代わりに持っていたカードを渡すと、みんな大喜びでInstagramをフォローしてくれた。
こんな形でトルコにも友達ができるとは思わなかったけれど、限界寸前の心を少しだけ無理して笑顔にすることで軽くしてくれた。
この土地でもまた人に救われたのか・・。
トルコ・・そして立ちはだかる新たな壁
明日は朝から自動車クラブの人と会う約束を取り付けられた。
悶々と考えて止まっているより、行動できること、約束があることが心を救ってくれていた。
そして、トルコにいる間に解決しなければならないもう一つの問題が見えてきた。
それは宗教上の事情という、これまで考えもしなかった壁。
トルコで滞在できる時間は限られている。いや・・ゴールまでの日数も。
その間にパーツが見つからなければ、積載車に頼りまた次の国境を渡るしかない。
なんとしてでも!!
ゴールを目指すために、どうしても奇跡を引き寄せなければならない。
また一つ新たな試練が待ち受ける中、眠ることなく次の日を迎えようとしている。
それでも、この旅が続く限り、私は進み続ける。
DAY27に続く…
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